春日部の税理士が伝える「雑所得とは?計算方法から節税のポイントまで詳しく解説!」

税理士法人アンシア春日部オフィス責任者

税理士 福山 裕司

東京国税局をはじめとする複数の税務署で徴収・法人課税・調査業務などに従事し、税務大学校や人事部での経験も積んだ税務のスペシャリストです。令和元年より税理士法人に参画し、現在は税理士法人アンシア春日部オフィスの責任者として活躍。思いやりと誠実さを大切にしながら、独創的な提案を通じて企業や個人の成長を支援します。NFL観戦や読書を趣味とし、日々自己研鑽に励んでいます。

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目次

はじめに

「副業を始めたけど、確定申告が必要?」「年金も雑所得になるの?」
最近、副業や投資をする人が増える中で、「雑所得」という言葉を耳にする機会も多くなりました。しかし、雑所得は他の所得と異なる特徴があり、損益通算ができないなど、税金の計算において注意が必要です

この記事では、雑所得の基本から、どのような収入が対象になるのか、税金の計算方法、確定申告の必要性、節税対策までわかりやすく解説します。ぜひ最後まで読んで、適切な税務対策に役立ててください!

雑所得とは?

雑所得とは、所得税法上の10種類の所得区分(給与所得、事業所得、不動産所得など)のうち、どれにも当てはまらない所得を指します。簡単にいうと、「他の所得区分に分類されない収入は雑所得になる」というルールです。

雑所得に分類される収入の具体例

公的年金・個人年金

・国民年金・厚生年金・共済年金

年金として受給するiDeCo(個人型確定拠出年金)

・生命保険の個人年金

※公的年金については、年金控除が適用されますが、控除を超えた部分は雑所得として課税されます。

副業等の収入

  • 原稿料や講演料(個人事業主でない場合)
  • 副業収入(個人事業主でない場合

投資や金融取引による収入

  • ソーシャルレンディングの利益
  • 仮想通貨の売却益(事業ではない場合)

雑所得の税金の計算方法

雑所得の税額は、以下の計算式で求められます。ただし、年金については、公的年金等控除という特別な控除が適用されます。

雑所得 = 総収入金額 – 必要経費

総収入金額:対象となる収入の合計。

必要経費:その収入を得るためにかかった費用(通信費、交通費、広告費、機材費など)。

雑所得の確定申告上の区分とは?

雑所得は、確定申告において以下の3つの区分に分類されます。

①公的年金等に係る雑所得

②業務に係る雑所得

③その他の雑所得

それぞれの特徴と、どのような収入が該当するのかを詳しく見ていきましょう。

公的年金等

この区分には、国が関与する年金制度からの収入が含まれます。

具体例

  • 国民年金
  • 厚生年金保険
  • 共済年金
  • 企業年金(確定給付企業年金、確定拠出年金など)

【特徴】

  • 公的年金等控除が適用されます。
  • 年齢や収入額に応じて控除額が変わります。
  • 確定申告書の「雑所得」欄の「公的年金等」に記入します。

業務に係るもの

副業や個人で行う継続的な活動からの収入がこの区分に該当します。

【具体例】

  • 副業にかかる収入
  • 原稿料・講演料

【特徴】

  • 収入を得るために直接必要だった経費を控除できます。
  • 確定申告書の「雑所得」欄の「業務に係るもの」に記入します。

その他のもの

上記2つの区分に該当しない雑所得がこちらに分類されます。

【具体例】

  • 非営業用貸金の利子
  • ソーシャルレンディングの利益
  • 仮想通貨の売却益(事業ではない場合)

雑所得の損益通算はできる?

損益通算とは?

損益通算とは、同じ年に発生した利益(黒字)と損失(赤字)を相殺できる制度です

例えば、事業で赤字が出ても、不動産収入で黒字があれば、それらを相殺して全体の所得を計算できます。

これにより、課税対象となる所得が減少し、結果として納税額を抑えられる可能性があります。

しかしながら、雑所得は損益通算ができません

損益通算ができる所得

  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得(一定の制限あり)

損益通算ができない所得

  • 給与所得
  • 退職所得
  • 一時所得
  • 雑所得

つまり、雑所得で赤字が出ても、他の所得と相殺できず、その年限りで切り捨てられます

雑所得の節税ポイント

必要経費をしっかり計上

経費として認められるものを適切に計上し、課税対象額を減らしましょう

【経費の例】

  • 副業用のパソコン・ソフトウェア
  • サーバー代、広告費
  • 書籍代、セミナー参加費
  • 取引先との打ち合わせの交通費

所得控除を活用

雑所得は総合課税の対象なので、扶養控除や医療費控除を活用して課税所得を減らすことが可能です。

事業所得として申告する

副業が継続的であり、営利性・独立性がある場合、雑所得ではなく事業所得として申告することができる場合もあります。事業所得にできると、損益通算や青色申告の特典が使えるため、税負担を大きく減らせる可能性があります。

まとめ

雑所得は、副業や年金収入など幅広い収入をカバーする所得区分ですが、損益通算ができないなどの制約があるため、税務処理には注意が必要です。

【本記事のポイント】

  • 雑所得は、他の所得区分に当てはまらない収入を指す。
  • 収入から必要経費を差し引いた金額が課税対象となる。
  • 総合課税が適用され、所得が多いほど税率が上がる。
  • 雑所得の損益通算は不可。
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