春日部の税理士が伝える「給与所得とは?計算方法から節税のポイントまで詳しく解説!」

税理士法人アンシア春日部オフィス責任者

税理士 福山 裕司

東京国税局をはじめとする複数の税務署で徴収・法人課税・調査業務などに従事し、税務大学校や人事部での経験も積んだ税務のスペシャリストです。令和元年より税理士法人に参画し、現在は税理士法人アンシア春日部オフィスの責任者として活躍。思いやりと誠実さを大切にしながら、独創的な提案を通じて企業や個人の成長を支援します。NFL観戦や読書を趣味とし、日々自己研鑽に励んでいます。

プロフィールの詳細はこちら

目次

1. はじめに

給与所得とは、会社や組織から受け取る給料や賞与(ボーナス)などによって得られる収入のことです。
日本では多くの人が給与所得者として働いており、その所得に基づいて所得税や住民税が課されます。
しかし、「給与所得って具体的にどう計算されるの?」「節税するにはどうすればいいの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか

この記事では、給与所得の基本から、知っておきたい節税対策までわかりやすく解説します!

2. 給与所得とは?

給与所得とは、会社や団体から支給される以下の収入を指します。

  • 基本給
  • 賞与(ボーナス)
  • 各種手当(通勤手当、住宅手当、家族手当など)

給与所得は、給与そのものの金額ではなく、以下の計算によって求められる所得金額を指します。

3. 給与所得の計算方法

給与所得は以下のステップで計算されます。

3-1. 支払金額を把握する

会社から支払われた年間の総額(基本給、手当、賞与の合計額)を確認します。
この金額は、源泉徴収票に記載されています

3-2. 給与所得控除を差し引く

給与所得控除は、所得金額に応じて一定額が差し引かれる制度です。控除額は以下のように計算されます:

給与収入額 給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%(最低55万円)
1,800,001円〜3,600,000円 収入金額×30%+18万円
3,600,001円〜6,600,000円 収入金額×20%+54万円
6,600,001円〜8,500,000円 収入金額×10%+120万円
8,500,001円以上 一律195万円

3-3. 所得控除を適用する

社会保険料や配偶者控除、生命保険料控除などを差し引き、課税所得を計算します。

3-4. 税率を適用して税額を計算する

課税所得に基づいて所得税と住民税が課されます。

(所得税の計算表)

課税所得金額 税率 控除額
1,000円~1,949,000円 5% 0円
1,950,000円~3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円~6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円~8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円~17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

(住民税率の構成)

住民税は以下の2つの税金で構成されています。

  1. 所得割:一律10%(都道府県4%、市区町村6%)
  2. 均等割:標準税額は年間5,000円(都道府県1,500円、市区町村3,500円)

4. 給与所得者が確定申告が必要になる主なケース

給与所得者は、基本的には年末調整によって所得税が精算されます。しかし、以下のような場合には、確定申告を行う必要があります

  • 年間の給与収入が2,000万円を超える場合
  • 2カ所以上の給与収入がある場合
  • 副業収入が年間20万円を超える場合
  • 満期保険金等の一時所得の課税対象になる場合
  • 医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税を含む)を申請したい場合
  • 住宅ローン控除の1年目

5. 給与所得者ができる節税対策

節税対策とは、合法的に納税額を減らす方法を指します。給与所得者の場合、控除を活用したり、非課税制度を活用することで節税が可能です。以下では、特に注目すべき節税方法として、iDeCoNISA を中心に解説します

5-1. iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoとは?

iDeCoは、自分で拠出した掛金を運用し、60歳以降に年金や一時金として受け取れる制度です。拠出した掛金がすべて所得控除の対象となるため、課税所得を減らすことで所得税・住民税の負担が軽減されます。

節税の仕組み

  • 掛金全額が所得控除
    年間の掛金(最大14.4万円〜81.6万円)に応じて課税所得が減少します。

    • 会社員の場合、月額12,000円〜23,000円(年額14.4万円〜27.6万円)が拠出上限。
  • 運用益も非課税
    運用で得られた利益が非課税のため、効率的に資産を増やせます。
  • 受け取り時にも控除適用
    年金受け取り時には公的年金等控除が、一時金受け取り時には退職所得控除が適用されます。

具体例:どれくらい節税できる?

仮に、年収500万円でiDeCoに毎月2万円を拠出する場合。

  • 年間掛金:24万円
  • 税率20%の場合、約4.8万円の節税が期待できます。

5-2. NISA(少額投資非課税制度)

NISAとは?

NISAは、投資で得た利益(配当金や値上がり益)が一定期間非課税になる制度です。現在、以下の種類があります:

  1. つみたてNISA
    • 少額から始められる長期投資向け制度。
    • 非課税期間:20年間。
    • 年間投資上限:40万円。
  2. 一般NISA(2024年以降は新NISAに移行)
    • 幅広い投資商品が対象。
    • 非課税期間:5年間(2024年以降は無期限に近い形へ)。
    • 年間投資上限:120万円。

節税の仕組み

  • 運用益が全額非課税
    通常、配当や値上がり益には約20.315%の税金がかかりますが、NISA口座ではこの税金がかかりません。
  • 所得税や住民税には影響なし
    非課税で運用できるため、税引後の利益が最大化します。

iDeCoとの違い

特徴 iDeCo NISA
節税効果 掛金が所得控除対象、運用益も非課税 運用益のみ非課税
資金の引き出し 原則60歳まで引き出し不可 いつでも引き出し可能
投資の目的 老後資金の積立 資産運用全般(短期・中長期も可)
年間投資上限額 14.4万円〜81.6万円 40万円(つみたてNISA)、120万円(一般NISA)

5-3. 医療費控除とふるさと納税も併用しよう

iDeCoやNISA以外にも、次の控除を活用することでさらなる節税が可能です。

医療費控除

  • 自分や家族の医療費が年間10万円(または所得の5%)を超える場合、超えた分が控除の対象となります。
  • ポイント:通院費や薬代、保険適用外の治療費も対象。明細書や領収書を必ず保管しておきましょう。

ふるさと納税

  • 寄附金のうち、自己負担2,000円を除いた額が住民税・所得税から控除されます。
  • ポイント:複数の自治体に寄附する場合も控除の対象となるため、返礼品を楽しみながら節税できます。

6. よくある質問

6-1. 医療費控除に関する質問

Q1. 医療費控除はどんな場合に受けられますか?

A1. 自己または家族の年間医療費が10万円または所得の5%を超える場合に医療費控除を受けられます。対象となる医療費には次のようなものが含まれます。

  • 通院費、入院費、処方薬費用
  • 保険適用外の治療費(例:歯のインプラント)

【注意点】

  • 美容目的の治療(美容整形、大人の歯列矯正など)は対象外
  • 治療費が一般的な水準を著しく超える場合は対象外となることがある

Q2. 医療費控除を申請するために必要な書類は?

A2. 以下の書類を揃えてください:

  • 医療費控除の明細書
  • 領収書(控除明細書作成のために必要)
  • 支払先の情報や支払日が記載された記録

6-2. ふるさと納税に関する質問

Q3. ふるさと納税をしたのですが、確定申告は必要ですか?

A3.ワンストップ特例制度」を利用した場合、確定申告は不要です。ただし、次のケースでは確定申告が必要です。

  • 6自治体以上に寄附した場合
  • 副業収入などで確定申告が必要な場合

Q4. ふるさと納税の控除額を計算する方法は?

A4. 控除額は、所得や家族構成によって異なります。簡易的にシミュレーションできるサイトもありますので、事前に確認することをおすすめします。

6-3. 住宅ローン控除に関する質問

Q5. 住宅ローン控除はどうやって受けられますか?

A5. 住宅ローン控除を受けるには、初年度のみ確定申告が必要です。必要な書類は以下の通りです。

  • 住宅借入金等特別控除申告書
  • 借入金残高証明書
  • 登記事項証明書売買契約書の写し

2年目以降は、勤務先の年末調整で手続き可能です。

6-4. 確定申告の準備や手続きに関する質問

Q6. 確定申告に必要な書類は何ですか?

A6. 以下の書類を準備してください:

  • 源泉徴収票(会社から配布される)
  • 各種控除の証明書(生命保険料、医療費明細など)
  • 副業収入の記録や領収書

Q7. 確定申告を忘れた場合、どうすればいいですか?

A7. 確定申告を忘れた場合、期限後申告を行う必要があります。延滞税や加算税が課される可能性がありますので、早めに手続きを進めてください。還付申告の場合は、5年間さかのぼって申請が可能です。

Q8. 確定申告はいつまでに行う必要がありますか?

A8. 毎年、2月16日~3月15日が申告期間です。この期間内に提出しましょう。電子申告(e-Tax)を利用すれば、時間外でも申告可能です。

7. まとめ

給与所得者であっても、特定の条件に該当する場合には確定申告が必要になります。医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除など、活用できる制度を正しく申請することで、税金の負担を軽減できます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次