103万円の壁を徹底解説
収入が増えると嬉しいはずなのに、なぜか家計の手取りが減ってしまうことがある――これがいわゆる「所得の壁」の問題です。その中でも「103万円の壁」は特に多くの家庭に影響を与えるポイントとして知られています。この壁を超えるとどのような税負担が発生し、家計全体にどんな影響を及ぼすのでしょうか?
具体的なモデルケースを用いて「103万円の壁」の仕組みを詳しく解説するとともに、その本質的な問題と可能な解決策についても考えていきます。これを読めば、収入と税金の関係がスッキリ理解でき、あなたの家庭にとって最適な選択肢が見えてくるはずです!
所得の壁とは何か、理解していますか?
所得の壁とは、一定の収入を超えると税金や社会保険料の負担が増え、手取りが減る現象を指します。今回はその中でも「103万円の壁」に焦点を当て、家計にどんな影響があるのかを紐解いていきます。
この壁を超えた場合の2つの税負担
1. 扶養される側の新たな税負担が発生
2. 扶養者(親や配偶者)の所得税負担が増える
この影響で家計全体の手取りが減少する仕組みを、具体例を用いて解説します。
モデルケースで見る103万円の壁の影響
モデルケースの設定
扶養される側⇒給与収入104万円の大学生
扶養者⇒年収800万円(所得税率20%) ※計算を簡略化するため、復興特別所得税は考慮していません。
扶養される側の新たな税負担
〇所得税の発生
収入が103万円を超えると、扶養される側に所得税がかかります。104万円の収入では、500円の所得税が発生します。
【計算式】
(104万円 – 55万円 – 48万円) × 5% = 500円
〇住民税の発生
年収が100万円を超えると住民税もかかります。104万円の収入では、11,000円の住民税が発生します。
【計算式】
均等割⇒5,000円
所得割⇒(104万円 – 55万円 – 43万円) × 10% = 6,000円
(合計)11,000円
扶養者(親や配偶者)への影響
扶養控除が適用されなくなると、扶養者の税負担が増えます。モデルケースでは、大学生が特定扶養控除の対象から外れることで、以下の税負担が新たに発生します。
【計算式】
所得税⇒63万円(控除額)× 20% = 126,000円
住民税⇒45万円(控除額)× 10% = 45,000円
(合計)171,000円
家計全体で見る負担増の合計
扶養される側⇒所得税500円 + 住民税11,000円 =11,500円
扶養控除喪失による扶養者の負担増⇒171,000円
(合計)182,500円
独自の視点で考える「103万円の壁の問題」
扶養される側の税負担は本当に重い?
収入が103万円を少し超えた場合、扶養される側の負担はそれほど大きくありません。例えば、1万円増えるごとに約1,500円の税負担が増えますが、残りの8,500円は手元に残ります。この点では、収入を増やすメリットも十分にあります。
扶養控除喪失が本質的な問題
一方で、扶養控除がなくなることで親や配偶者の負担が大きく増える点が、本質的な問題です。配偶者には、配偶者特別控除といって、扶養控除損失が発生しても、一定の収入までは新たな税負担は発生しません。大学生などの扶養控除にも控除額を段階的に減らす「スライド式控除」の導入が有効と考えられます。国の財源にも大きな影響がありませんので、導入も比較的容易だと思いますが…
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