春日部の税理士が伝える「譲渡所得とは?計算方法から節税のポイントまで詳しく解説!」

税理士法人アンシア春日部オフィス責任者

税理士 福山 裕司

東京国税局をはじめとする複数の税務署で徴収・法人課税・調査業務などに従事し、税務大学校や人事部での経験も積んだ税務のスペシャリストです。令和元年より税理士法人に参画し、現在は税理士法人アンシア春日部オフィスの責任者として活躍。思いやりと誠実さを大切にしながら、独創的な提案を通じて企業や個人の成長を支援します。NFL観戦や読書を趣味とし、日々自己研鑽に励んでいます。

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目次

はじめに

資産を売却した際に発生する「譲渡所得」は、多くの方にとって一度は関わる可能性のあるテーマです。不動産や株式、資産の種類によって計算方法や税金のルールが異なるため、「何から手をつければよいかわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか

本記事では、譲渡所得の基本的な仕組みをわかりやすく解説するとともに、資産ごとの計算方法の違いや税金の取り扱いについて詳しく説明します。また、節税に役立つ特例や控除のポイントについてもご紹介します。

このブログを読むことで、以下の疑問が解消できます。

譲渡所得とはどのようなものか?

売却する資産によって計算方法がどう異なるのか?

節税するために知っておくべき特例や控除は何か?

譲渡所得の正しい理解は、資産売却に伴う税金の負担を軽減し、適切な申告につながります。これから詳しく解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください!

譲渡所得とは?

譲渡所得とは、不動産や株式などの資産を売却した際に得られる利益を指します。具体的には、資産を売却して得た収入から、その資産を取得するためにかかった費用(取得費)や、売却に伴う手数料(譲渡費用)を差し引いた金額が譲渡所得として計算されます

譲渡所得は、日常的な給与所得や事業所得とは異なる「一時的な所得」であり、税法上特別なルールが適用されます。また、売却する資産の種類によって計算方法や課税方式が異なるため、資産ごとに適切な手続きが求められます

譲渡所得が発生する主な資産

不動産(土地・建物)

マイホームや投資用不動産を売却した際に発生します。

特定の条件を満たす場合、3,000万円の特別控除が適用されることがあります。

株式(上場・未上場)

上場株式の売却益は分離課税の対象となり、一律の税率で課税されます。

未上場株式では適正な時価での取引が求められます。

その他の資産

ゴルフ会員権や金地金、美術品、骨董品などの売却も対象となります。

 次の資産は、譲渡所得の対象にはなりません。

事業用の商品などの棚卸資産や山林の譲渡による所得(事業所得等の適用になります。)

・1個30万円以下の生活用動産の譲渡による所得

資産ごとの計算方法と課税方式

不動産(土地・建物)

計算式

譲渡所得 = 譲渡収入金額 – (取得費 + 譲渡費用) – 特別控除

特徴

マイホームの売却では、3,000万円の特別控除が適用されることがあります。また、保有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」として、税率が異なります。

課税方式

分離課税(他の所得と別に課税)。

上場株式

計算式

譲渡所得 = 譲渡収入金額 – (取得費 + 譲渡費用)

特徴

売却益は一律20.315%の税率で課税され、特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は確定申告が不要なこともあります。また、他の株式の譲渡損益と通算できる点が特徴です。

課税方式

分離課税

未上場株式

計算式

上場株式と同じ計算式を用いますが、取得費が不明な場合は譲渡収入金額の5%を「概算取得費」として利用可能です。

特徴

適正な時価で取引が行われたかが重視されます。特定口座は利用できず、譲渡損益の通算や繰越控除は適用されません。

課税方式

分離課税

ゴルフ会員権や美術品等

計算式

基本的には他の資産と同様ですが、控除や特例は適用されないことが多いです。

特徴

保有期間の区分(短期・長期)は適用されず、売却益全体が課税対象となります。

課税方式

総合課税

分離課税と総合課税の違い

譲渡所得に適用される税金の仕組みには、「分離課税」「総合課税」の2種類があります。それぞれの特徴や対象資産、税率の違いを詳しく解説します。

分離課税とは?

分離課税とは、給与所得や事業所得など他の所得とは切り離して課税される方式です。譲渡所得が分離課税の対象となる場合、税率は所得金額に関係なく一律で適用されます。

主な対象資産

    • 不動産(土地・建物)の譲渡所得
    • 上場株式の譲渡所得
    • 未上場株式の譲渡所得

税率

短期譲渡所得(保有期間が5年以下)

39.63%(所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%)

長期譲渡所得(保有期間が5年超)

20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)

上場株式の譲渡所

一律20.315%

特徴

    • 他の所得に影響されないため、総合課税に比べて税負担が読みやすい。
    • 損益通算が可能で、同じ分離課税対象の資産間で損失を相殺できる。
    • 不動産や株式の譲渡損失は、翌年以降3年間繰り越して相殺する「繰越控除」が利用できる。

総合課税とは?

総合課税とは、譲渡所得が給与所得や事業所得など他の所得と合算される課税方式です。所得の合計金額に応じて、累進課税(税率が所得金額に応じて段階的に上昇)が適用されます。

主な対象資産

    • ゴルフ会員権や美術品の譲渡所得
    • その他、分離課税の対象外となる資産

税率

累進課税方式で、所得金額に応じて税率が5%から45%(住民税を含めると最大55%)まで上がります。

特徴

    • 他の所得と合算されるため、所得が高いほど高税率が適用される。
    • 損益通算不可:同じ総合課税対象の資産間でも損失の相殺ができない。
    • 翌年以降への繰越控除も適用されない。

分離課税と総合課税の違いを比較

項目 分離課税 総合課税
対象資産 不動産、上場株式、未上場株式 仮想通貨、ゴルフ会員権、美術品
税率 一律(20.315%や39.63%など) 累進課税(5%〜最大55%)
損益通算 他の分離課税対象の資産と通算可能 通算不可
繰越控除 譲渡損失を翌年以降3年間繰り越し可能 繰越不可
税負担の予測 所得金額に関係なく一定 所得金額が増えるほど税負担が増加

どちらが有利か?

分離課税が有利

税率が一定で、損益通算や繰越控除が可能なため、長期的な資産管理に向いている。

総合課税が有利な場合もある

所得が低い年や控除枠を活用できる場合には、総合課税が有利になることもあります。

譲渡所得で賢く節税する方法

特例や控除を活用する

居住用財産の3,000万円特別控除

【内容】

マイホームを売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。

条件

  • 売却した資産が自分または家族が実際に住んでいた住宅であること。
  • 居住をやめてから3年以内に売却すること。
  • 親族間の取引でないこと。

【注意点】

  • 他の特例(買い替え特例など)と併用不可。
  • 住宅ローン控除との併用制限

【住宅ローン控除との併用制限】

制限期間

以下の期間に3,000万円特別控除を利用した場合、住宅ローン控除は適用できません。

  • 新居に入居した年の前年
  • 新居に入居した年の前々年
  • 新居に入居した年
  • 新居に入居した年の翌年から3年以内

重要な注意点

  • 一度3,000万円特別控除を選択して確定申告を行うと、後から住宅ローン控除に変更することはできません。
  • 節税効果を最大化するには、どちらを選択するかを事前に慎重に検討する必要があります。

特定の居住用財産の買い替え特例

【内容】

居住用財産を売却し、新たに居住用財産を購入した場合、売却益の課税を繰り延べできます。

【条件】

  • 売却価格が1億円以下であること。
  • 新しい住宅の購入価格が売却価格以上であること。

【注意点】

将来的に課税される繰り延べ措置であるため、長期的な計画が必要です。

売却タイミングを調整する

長期譲渡所得への切り替え

【内容】

資産の保有期間が5年を超えると、短期譲渡所得よりも低い税率(20.315%)が適用されます。

【提案】

売却時期を調整し、保有期間を5年以上にすることで税負担を軽減できます。

所得が低い年に売却を行う

【内容】

総合課税対象の資産は、所得が低い年に売却することで累進課税の影響を抑えられます。

損益通算と繰越控除を活用する

損益通算

【内容】

譲渡損失が発生した場合、他の譲渡所得と相殺することができます。

【対象】

  • 上場株式の譲渡損失は、他の株式や投資信託の利益と通算可能。
  • 不動産の譲渡損失は、条件を満たせば給与所得や事業所得とも通算可能。

繰越控除

【内容】

譲渡損失が発生した場合、翌年以降3年間にわたり、譲渡所得の利益と相殺することができます。

【対象】

上場株式や不動産の譲渡損失。

取得費を正確に算出する

取得費の証明を整備する

【提案】

  • 購入時の領収書や契約書を適切に保管する。
  • 改修工事費用や関連手数料を取得費に含めることで譲渡所得を圧縮。

【概算取得費】

取得費が不明な場合、売却金額の5%を取得費として計算可能。ただし、実際の取得費が高い場合には不利になります。

控除対象を最大限活用する

譲渡費用に含められる項目の確認

    • 仲介手数料
    • 測量費用
    • 解体費用(更地にして売却する場合)
    • 登記費用

適切に譲渡費用を計上することで課税対象額を減らせます。

譲渡所得とは?計算方法から節税のポイントまで詳しく解説!

資産を売却した際に発生する「譲渡所得」は、資産の種類や売却条件によって計算方法や課税方式が異なります。この記事では、譲渡所得の基本的な仕組み、計算方法、そして節税のポイントまでを詳しく解説します。これを参考にすることで、税負担を軽減し、適切な申告が行えるようになります。


1. 譲渡所得とは?

譲渡所得とは、不動産や株式、仮想通貨などの資産を売却した際に得られる利益を指します。具体的には、以下の計算式で求められます:

譲渡所得 = 譲渡収入金額 – (取得費 + 譲渡費用) – 特別控除

  • 譲渡収入金額:資産の売却で得た総収入額。
  • 取得費:資産の購入価格や改修費、購入時の手数料など。
  • 譲渡費用:売却にかかった仲介手数料や測量費用など。
  • 特別控除:一定の条件を満たす場合に適用される控除(例:居住用財産の3,000万円控除)。

譲渡所得は「分離課税」と「総合課税」の2種類の課税方式があります。資産ごとに適用が異なるため、正確な理解が必要です。


2. 資産ごとの計算方法と課税方式

不動産(土地・建物)

  • 課税方式:分離課税
  • 特徴:居住用財産の場合、3,000万円の特別控除が適用されることがあります。保有期間が5年以下なら短期譲渡所得(税率39.63%)、5年以上なら長期譲渡所得(税率20.315%)となります。

上場株式

  • 課税方式:分離課税
  • 特徴:一律20.315%の税率が適用され、損益通算や繰越控除が可能です。特定口座を利用すれば、確定申告が不要な場合もあります。

未上場株式

  • 課税方式:分離課税
  • 特徴:時価での適正な取引が求められます。損益通算や繰越控除は利用できません。

仮想通貨(暗号資産)

  • 課税方式:総合課税
  • 特徴:他の所得と合算され、累進課税(税率5%~最大55%)が適用されます。損益通算や繰越控除は不可です。

ゴルフ会員権・美術品

  • 課税方式:総合課税
  • 特徴:保有期間にかかわらず課税されます。

3. 節税のポイント

(1) 特例や控除を活用する

  • 居住用財産の3,000万円特別控除
    マイホーム売却時に最大3,000万円を控除できます。ただし、住宅ローン控除との併用制限に注意が必要です。

    • 制限期間:新居入居の前年から翌々年までの期間に3,000万円控除を使うと、住宅ローン控除が適用されません。
    • 確定申告後の変更不可:3,000万円控除を選択した場合、住宅ローン控除には変更できません。
  • 特定の居住用財産の買い替え特例
    売却益の課税を繰り延べできますが、将来的な課税リスクに注意が必要です。

(2) 売却タイミングを調整する

  • 保有期間を5年以上にすることで長期譲渡所得の低税率を適用。
  • 所得が低い年に売却することで税負担を軽減(総合課税対象の場合)。

(3) 損益通算と繰越控除の活用

  • 上場株式や不動産の譲渡損失は、他の利益と相殺でき、翌年以降3年間繰り越せます。

(4) 取得費や譲渡費用を正確に計上

購入時の領収書や改修費用の記録を整備し、譲渡所得を圧縮することが重要です。


4. 注意点:住宅ローン控除と3,000万円控除の併用制限

以下の期間に3,000万円特別控除を利用した場合、住宅ローン控除は適用されません:

  • 新居入居の前年
  • 新居入居の前々年
  • 新居入居の年
  • 新居入居の翌年から3年以内

具体例: 2025年に新居に入居する場合、2023年から2028年の間に3,000万円特別控除を利用すると、住宅ローン控除は適用されません。


5. 専門家に相談するメリット

税務に詳しい専門家に相談することで、以下のメリットがあります:

  • 節税効果を最大化。
  • 複雑な税務手続きの代行。
  • 誤申告や税務リスクの回避。

まとめ

譲渡所得の計算や節税は、資産の種類や状況によって大きく異なります。本記事で紹介したポイントを参考に、次のような対応を検討しましょう。

    1. 特例や控除を活用する(特に3,000万円控除の適用条件を確認)。
    2. 売却タイミングを調整する(長期譲渡所得や所得の低い年を活用)。
    3. 取得費や譲渡費用を適切に計上する
    4. 専門家に相談してリスクを回避する
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